2011年9月20日火曜日

sep.20 『幻のシューホーン』

セルロイド?

今ではあまり聞き慣れない言葉です。

現在でもセルロイドが使われているのは、卓球のボールやギターのピック、
高級万年筆ぐらいでしょうか。


セルロイドは天然繊維のセルロースに樟脳(しょうのう)を混ぜて固めたもの、
今から約100年程前に大阪、兵庫で本格的な生産が始まり
日本の主要な産業の一つとなりました。

1937年には世界の生産量の40%を日本が占めていたといわれています。

プラスティックが生産されるようになるまでは、
玩具を主体とし、眼鏡のフレーム、筆箱(鉛筆、消しゴム等の筆記物入れ)、
下敷き、石鹸入れ等多くの雑貨品に使用し、東京でも下町に加工工場が多数あって、
セルロイド製品の一大産地となっていました。
(葛飾区だけでも200軒の加工工場があったとのことです。)

しかし、セルロイドが燃えやすいという理由で
米国が1954年に日本製セルロイド玩具の輸入を禁止、
難燃性の石油系素材(プラスティック)に切り替えが進み、
セルロイド製の雑貨品が一般市場から消えてしまいました。

現在では東京に一軒だけ業者が残っていますが、
石油系の材料なら1kg当り300円~500円なのにセルロイド材料は5000円、
プラスティックの10倍とのことでとても高価なものになってしまいました。
プラスティックに比べ
「しっとりとした手触りや、木のような香り」

価値はあると思います。



 
当社が取扱しているシューホーンも今はプラスティックやメタル製が主体ですが、
過去にはセルロイド製のシューホーンがほとんどでした。

当時扱っていたシューホーンは現在1本だけ会社に保存してあり、
ちょっとしたお宝品になってしまいました。


日本の工場でメイドインジャパンのセルロイド製シューホーンを
もう一度作ってみたいと思っていますが、
なにしろ材料費だけでもプラスティックの10倍、
高価なシューホーンになってしまいますので悩んでいます。。


 
消費者の皆さんにレトロなセルロイド製が理解していただけるか?

いや、きっと分かって頂けるでしょうね。