『博士の愛した数式』で知られる小川洋子さんの短編です。
事故で薬指の先を失くした主人公の女性が、
勤め先の標本技術士に靴をプレゼントされるシーンがでてきます。
“新しい靴は驚くほどぴったり足になじんだ。
どこにも無理がなく、足全体が優しく包み込まれているようだった。”
“どんなわずかな圧迫も透き間もなく、しなやかで軽かった。”
そんなすてきなフィッティングの靴に出会いたいものです。
まるで足型を取って作ったみたいだと伝えると相手は、
“「僕は標本技術士だよ。足の寸法くらい、見れば分かるさ」”
そうなのか!?標本を作っている方というのは!
また靴磨き職人のおじいさんもでてきて、
彼女のゆく先がわかっているような、キーパーソンの役目になっています。
物語は標本や靴へのフェティッシュな感覚、
全体的に青いフィルターがかかったような、「暗い」の一歩手前のトーンで続きます。
『博士の愛した数式』の心暖まるストーリーをご存知の方!
ちょっと趣きは違いますがしかしこれはこれでひとつの愛のかたちなのでしょうきっと。
気になった方は帰りに本屋さんへ。
ちなみに映画化もされています。しかもフランスで!
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